【コラム】難しくない?「ふるさと納税」した際の確定申告の方法~後編~

 確定申告なくして享受できない「ふるさと納税」の恩恵

税金対策の一つとして大いに活用できる「ふるさと納税」という制度。特に住民税を多く納税している高所得者の方にとっては少なくない恩恵を受けられる制度であり、住民税が控除に?高所得者に有利な「ふるさと納税」(前回コラム)では、利用することによって得られるメリットについて紹介しました。しかし、一点だけ忘れてはいけないことがあります。それは「ふるさと納税」は確定申告なしには税金の控除を受けることができない点です。では漏れなく簡単に「ふるさと納税」の確定申告を行うには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。

 

「ふるさと納税」で得するために不可欠な確定申告

ふるさと納税は、自身が発展に貢献したいと考える都道府県・市区町村(ふるさと)に対して寄付金を支払うことで特産品・特典が手に入り、税金の控除を受けられる制度です。しかも、平成26年度までは1割だった住民税の控除対象額も、平成27年からは2割まで拡充。非常にメリットが多いため、特に高所得者にとっては利用しない手はない制度だと言えるでしょう。

 

ただし、お得な「ふるさと納税」の恩恵を賜るためには、確定申告が不可欠な点には注意が必要です。寄付金を自治体に支払うことで、ふるさと納税先団体から特産品・特典が届きます。そして、寄付を証明する「受領書(寄付金受領証明書)」が送付されることで、すべてが完了したと考えがちですが、実はそうではありません。その後の確定申告の手続きがなされなければ、所得税の還付や個人住民税の控除が受けられないのです。

 

そのため、「ふるさと納税」の一連の流れとして「ふるさと納税の支払い→受領書の受け取り→確定申告の手続き→所得税の還付や個人住民税の控除」であることを認識しておきましょう。自治体に税金を納めるのではなく、寄付した金額を本来納めるべき税金から引いてもらうのが「ふるさと納税」であり、寄付金を支払っていることを税務署や市区町村に怠らずに申告することが大切です。

 

 

簡単に確定申告できる「ワンストップ特例」とは

個人事業主でもともと確定申告の必要性がある方であればともかく、給与所得者でそうした手続き

とは普段縁がない方だと、確定申告を行うことを重荷に感じるかもしれません。しかし、そうした方に朗報があります。実は「ふるさと納税」に特化しており、確定申告を簡単に行える「ワンストップ特例」という制度があります。

 

「ワンストップ特例」とは、確定申告の必要性がない給与所得者で、なおかつ「ふるさと納税」の寄付先の自治体が5つまでの人が利用できる仕組みです。ワンストップ特例申請書を寄付先の自治体に送り、その自治体が控除に必要な情報を寄付者の住む市区町村に連絡。それによって寄付者は「ふるさと納税」をした翌年度分の住民税の控除が受けられるという流れになります。つまり、寄付をした本人は最初の書類提出のみで確定申告が完了するので、“ワンストップ”というわけなのです。

 

インターネットで「ふるさと納税の確定申告が不要に」という見出しの記事をよく目にしますが、確定申告の手順が簡略化されたというのが正しい表現になります。ワンストップ特例申請書は記載が特別難しいわけではないので、10分もあれば完了することも可能です。「ふるさと納税」を活用する際には、しっかりと手順を理解したうえで必要な手続きを怠らずに行うようにしましょう。

 

 

制度を正しく理解して上手に「ふるさと納税」を活用しましょう

給与所得者にとっては非常に便利な「ワンストップ特例」ですが、条件によってはこの制度を利用できないので注意しましょう。とりわけ、確定申告をしなければならない人は「ワンストップ特例」には当てはまりません。「年収が2000万円以上である」「複数箇所から給料をもらっている」「事業所得や不動産所得がある」という方は通常の確定申告の義務者なので、必要な手続きを行いましょう。

 

また、「ふるさと納税」の他にも「医療費控除を受けたい」「住宅ローン控除の初年適用を受けたい」などの還付申告を希望される場合は、確定申告をした方が得になるケースもあります。その場合は、無難に確定申告を済ませるようにしましょう。

 

上記のように細かいルールがある「ふるさと納税」の「ワンストップ特例」ですが、重要なことは制度を正しく理解して上手に「ふるさと納税」を活用することです。「ふるさと納税」を利用し、税金の控除を受けるためには必要な手続きが欠かせません。「ふるさと納税」の恩恵を賜るためにも、事前に情報収集をしたうえで、制度に則った対応を心がけましょう。

 

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